人外

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 僧たちの多さに圧倒されながら、辺りの地域を閉鎖していた警官たちの間を通り中に入って行った。僧たちの仕事は国の中での横繋がりが有り、その内容により手伝ってもらえる事も少なくは無かった。 「さて、子のよく消える場所と言うのは、どの辺りかえ?」  一人の僧が警官の一人に声を掛けた。顔にまで入った刺青は一般人であれば威圧感や嫌悪感を覚えたが、スキンヘッドの僧侶に入っていれば宗教的な意味合あいにも見えた。 「ア、アチラノ。ガッコウマエ、、、、、デス」 「ありがとう。お仕事頑張って下さいね」  まるで催眠術でも掛かったかの様に、警官は片言に返答を返した。一緒に警備をおこなっていた警官が何事かと、片言に答えた警官に駆け寄ると一瞬虚ろに見えた目が突然、何事も無かったかの様に元に戻った。  全員の僧たちが通り抜けると、まるでカラスが飛び立つように散開し辺りの散策に入った。先程、警官に声をかけた僧だけがゆっくりと歩いたまま、先程聞いた学校前を目指し歩いていた。 「しかし、辺りが臭い臭いと思いきや。巣でもあるんかえ、まったく鼻がもげそうですわ」  そう話しながら鼻を押さえた僧の刺青が、ぐるりと泳ぐように背中に移動していった。それは合図でも有った、強い悪臭は妖怪同士であれば反応する。  僧の体内に描かれた刺青の化け物が反応し、それを感じ取った僧は間違いなくこの辺りで化け物が現れたのだと感づくと、化け物と見間違いそうなほど不気味に口角が上がった。
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