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「屋上まで来たか。化け物の臭いだけはどんどん強くなって居るな。きっと此処に」
登りきった刺青の入った僧は、屋上に扉を恐る恐る開ける。もしかすると化け物が突然、飛び出して来たりして来る可能性が無いわけではない為である。
錆びた鉄扉をゆっくりと開いた。運よく屋上への鍵はかかっておらず、ゆっくりと開けた扉を抜けて屋上に出ると、刺青の僧は立ち尽くす事となった。
「何も無い、臭いは確かに此処で、、、、、、」
そう呟くと同時に、風向きが変わり血の匂いが此方に流れて来た。甘い香りと共に血の匂いがする方向に歩いて行くと、それの前に立ち止まった。
「いや。まさか、、、、、、、信じたくはないが」
嫌な予感が全身をかけ巡った。目の前にあったのは貯水槽、その貯水槽には幾重ものタンクを伝ったであろう血の線が付けられていた。それは既に乾き、時間が経っている事が解った。
そのまま、濃い血の臭いに呼ばれる様に貯水槽に上ると、刺青の僧は生唾を飲み込んだ。恐る恐る、震えたままの手で貯水槽タンクの蓋を開けた。
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