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不安を払しょくできなかった事。それにより水本自身がジッと動かずに居られなかった事で、夜にも拘らず動き回っている最中で起こった出来事である。
「、、、、、、、、誰だ!!」
茂みの揺らぎで何かが蠢いたのを感じた水本だったが、山犬か何かがやって来るのかと思っていた。しかし、そんな者よりももっと恐ろしい別のものが水本の前に現れた。
「何だ!気味の悪いオマエハダレダ!!」
興奮気味の怒鳴りつける様にそう叫んだ水本の目の前には、月明かりに照らされるまでその影は子どもの様にも見えた。しかし、その姿はおぞましく誰もが一度は見た事の有るようなフォルムをしていた。
全身、痣だらけの様な模様は緑色に変色し裸であるにも拘らず、粘液のようなものを帯びている所為か月明かりで鈍く光っている。それとは裏腹に目玉が有る筈の位置には割れたゴルフボールの様な石のような眼が此方を睨む。
特徴的なのはやはりその頭部であった。人とは思えない様な大きな頭の頭頂部にはその特徴的な皿があり、その皿を湿らせるために大きく裂けた口から涎をすくっては皿に塗りつけていた。
「化け物がぁ!こっちに来るんじゃねぇ!!」
無作為に投げつけたのは一眼レフ。しかしそれは当たらずに道に叩きつけられただけで壊れてしまった。投げた瞬間少しずつ近づいて来ていた。
一番身動きの取りずらいリュックを持ち上げる様にして、化け物に投げつけた。その時だった、リュックが当たった瞬間に金属を叩きつけたような音が鳴り響いた。
しかし、そのまま一目散に逃げていった為どうなったのかは解らなかったが、暫くしても追いかけてくる気配がなかった為、恐る恐るリュックを回収しに引き返した。
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