落涙ド素人

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 ドッジボールとかキックベースとか、ひと言で返せればたやすいのだけれど……。  あいにく事情は込み入っていた。  休み時間の終わりも迫っていることだし、本当のところ答える時間さえ惜しい。 「新しい遊び考えてんの」  しかたがないからシンヤが3人を代表して、つっけんどんに返した。  頼むからそれで話を終わりにしてくれ、という願いも込めて。  しかし人生とはままならないもの。  状況は、3人がもっとも避けたかった展開をみせた。 「楽しそう。わたしも混ぜて」  冗談じゃない。  今から「ガンバコ」の基本ルールを説明するところから始めると、それだけでもう5分だ。  3人はもう一度顔を見合わせた。  誰が貧乏クジを引くか、目だけで会話する。  多数決は一瞬だった。  うかつにも対応してしまったシンヤが、最後まで責任持ってユミに対応すべきだと。
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