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午前中は、教育係の下田さんに庶務のことをあれこれ教わりつつ、合間にデータ入力も頑張って過ごした。
そしていつものように、すみれちゃんとお昼ご飯を食べてフロアに戻ると、わたしの机のすぐ近くに備え付けてあるプリンターの前に数人の男性社員がいて、何か話していた。
まだ名前を憶えていない人たちだ。
「ねえ、三浦さん、何したの?」
わたしが戻ってきたことに気づいたひとりに、いきなりそう言われた。
何のことかよくわからずに「え?」と首を傾げるわたしに、その社員が説明してくれた。
「プリンターがエラー表示のまま動かないんだよね。昼休みに入る前に、三浦さんがプリンター使ってたって聞いたんだけど」
「ええっと…確かにわたしがプリンターを使っていましたが、その時は普通に印刷できましたよ?エラー表示も何も出てなかったと思います」
わたしはありのままを答えたのだけど、みなさん納得していない様子だった。
つまり、わたしが何かヘンなことをしてプリンターを壊したと思われてるってわけね?
いつもこうだよ!
わたしは心の中で悪態をついたのだった。
何もしてない、何も知らないと主張するわたしに対し、相変わらず「一体何しやがったんだよ…」という疑いの目を向けながら、みなさんは解散していった。
そこへ戻ってきた下田さんに、どうやらプリンターの調子が悪いらしいということと、その直前に使っていたのがわたしで、わたしが壊したのだとみなさんに思われてるっぽいということを報告した。
「三浦さんが使ってたときから調子が悪かったってこと?」
下田さんはプリンターを置いている棚の引き出しを開けて取扱説明書を取り出し、エラー表示と説明を見比べている。
「いえいえ、全然。下田さんもあのとき一緒にいましたよね?プリンターから妙な音がしたとか、わたしが何か焦ってたとか、何もなかったでしょう!?」
「うーん、このエラー番号は『メーカーに問い合わせてください』だって」
ちょっと下田さん!わたしの話、ちゃんと聞いてる!?
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