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だから、北川さんに、冗談半分で言ったのだ。
「そんなにこじらせるぐらい好きなら、奪っちゃえばいいんですよぅ」って。
北川さんが小野さんを奪ってくれたら、傷心する時任さんをわたしが慰めて…むふふ。
しかしそんな妄想は、「俺をそそのかそうとしても無駄だ…魔女め」という冷たい言葉であっさり打ち砕かれたのだった。
そしていま、わたしはそんな北川さんに抱かれている。
啄むような、食むような、そんな愛情あふれるキスもなければ、耳元でささやかれる甘い愛の言葉もない。
時間をかけた優しい愛撫もほとんどなく、いきなり挿れられた。
それなのに、わたしの体は…「垂れてるじゃん」とからかわれるほどぐしょぐしょな愛液で彼を歓迎して悦んでいる。
激しく腰を打ち付けられて、達しながらあげた叫ぶような嬌声は、一片の愛情もないように聞こえたに違いない。
大っ嫌い。
北川さんなんて、大っ嫌い――。
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