魔女ですが、何か?

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 魔女――そう呼ばれる理由に関して、心当たりが全くないわけではない。  自分の身の回りの物がやたらと壊れたり、わたしに関わった人たちに不運なことが起こったり、そのせいで妙な噂を流されたり…。  とにかく「負のミラクル」が頻発するのだ。  本気で呪いとか祟りとかを疑ってお祓いをしてもらったのが高校生のときだったっけ。  神様にお願いしたのは「学業成就」ではなく「悪霊退散」だった。  ご利益が少しでもあったのか、それとも全くなかったのかもよくわからない。    短大時代には、友人に頼まれて自分の分と一緒に重ねて教授の助手に手渡したレポートが、わたしの分は「提出」、友人はなぜか「未提出」になっていて、わたし・友人・助手でさんざん揉めたという事件も起こした。  確かに一緒に提出したはずだと主張するわたしと、受け取った分はきちんとすぐ名簿にチェックをつけたと主張する助手、そして友人は教授から「なぜ自分で提出しなかったのか」と責められ、わたしはその友人から「あのとき、あんたなんかに頼むんじゃなかった」と吐き捨てられて仲たがいしたという黒歴史がある。  そのあと、おばあちゃんに頼んで書いてもらった「写経」を自分の部屋に貼ったけど、それも効果があったのかどうか…。  うん、つまり何が言いたいかっていうと、わたしなりに自覚してなんとかしようと、せめて「普通」でありたいと努力していた日々があって、しかしそれが叶わなかったために、今はこんな自分を丸ごと受け入れて生きているってことだ。  自己肯定は大事だっていうし!  虚勢をはって「魔女ですが、何か?」と開き直っても、元来の小心者なわたしがたまに顔をのぞかせて涙が出ることぐらい、どうか許してほしいと思う。  それなのに北川さんときたら、泣くことすら許してくれない。 「泣く暇があったら手を動かせ」    まあ仕事中なんだから、それはそれでもっともなんだけれども、投げてくる仕事の量がおかしいと思うんですよね?
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