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「ちょっと、僕に見せて貰えない?」
「えー?!健太、BL興味あんの?マジか…」
僕は驚いて椅子からひっくり返りそうな涼平を無視して、榎本さんに頭を下げた。
「いいけど…はい」
榎本さんはちょっと不満気ではあったが、それを差し出してくれた。
表紙のイラストは美麗な男性2人組がオフィスで居眠りするイラストだった。
作者名はAKIRA。
僕は早速中身を確認した。
内容はパラパラと巡る程度で、漫画のセリフを読み飛ばしていくと、あるページで目を留めた。
上司風の男が深夜部下を慰めるようなシーン。
そこで彼が部下に差し出したのは
そう、あのレモンキャンディーだった。
僕はページを更に巡った。
僕が必死に本を読み入る姿に、3人は呆気にとられた様子で、互いの顔を見合わせていた。
でも、僕はお構いなしだった。
内容に一通り目を通すと、本をパタンと閉じた。
「ねぇ、これどこで売ってる?」
涼平含め3人は、あからさまに不信感を抱いた眼差しを僕に向けていた。
「駅前の本屋じゃないかな?」
「ありがとう」
僕は答えてくれた榎本さんに本を手渡すと、教室を出た。
涼平がなんか言ってる気したけど、無視した。
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