僕と彼女

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「790円です」 僕はお金を差し出すと、ちょっと気まずそうにそれを受け取った。 「カバーはいりますか?」 「じゃあお願いします」 店員の女の子はその本にカバーをかけてくれた。 「ありがとうございました」 僕はそれを笑顔で受け取ると、店を出た。 街中にあって稼げるものって言うけど、大雑把すぎるよ、旭さん。 心の中でそう毒づいて、僕は本をリュックにしまうと駅へと向かった。 自宅に帰って早く読みたかったから。 夕方の人でごった返した駅の構内を抜けて、ホームに来た快速電車に飛び乗る。 夕方の日の沈む街の景色を眺めながら、電車に揺られること20分。更に乗り換えて35分。やっと自宅に着いた。 僕はまだ、明かりの灯っていない自宅の電気を点けた。 玄関にリュックを投げ、手洗いうがいして、キッチンへと向かう。冷蔵庫からコーラ一本を取り出して、リュックを拾って、二階の自室へと向かう。 部屋に着くと、リュックから早速さっきの本を取り出した。 本当に旭さんが書いたのか、ちょっと自信なかったけど、僕はページを再び巡った。 ストーリーはぶっちゃけ、よくわからない。 僕普段BL読まないし。 そう思っていたけど、読み始めるとすんなりと頭に入って来た。
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