それは呪いのような恋

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「美咲ちゃん、四年間同じ学校だね」 「誠也くん。Y大を受けるんじゃなかったっけ?」  そう、誠也のご家族から彼はY大を受けると聞いていた。だから安心して、この志望校を受けることができたのに。どうして、ここにいるのだろう。 「え、なんのこと? 僕もここに通うんだよ」  誠也はきょとんとした顔をした後に、愛らしく首を傾げてみせた。こんなあざとすぎる仕草も、上背があるくせに誠也にはよく似合う。  ご家族には可愛い顔で『内緒にして驚かせたいから』なんて言ったのだろうか。 「そう。じゃあ」  私はぷいと顔を背けると、早足で誠也の横を通り過ぎようとした。  だけど―― 「待って!」  大きな手で二の腕をがしりと掴まれた。私だって一応女子という性別なのだから、簡単に触らないで欲しい。  誠也は引き止めたくせに、なにも言わずに真顔でぷにぷにと私の二の腕を弄ぶ。誠也の行動は時々意味がわからない。 「――二の腕、ぷにぷにだ」  誠也はため息まじりにそんな言葉を吐く。誠也をうっとりと見ていた綺麗な女の子が、その言葉を聞いて優越感剥き出しな顔でくすりと笑った。  羞恥で頬がカッと熱くなる。  涙目で睨みつけても、誠也はちっとも動じない。それどころか、なぜか照れたような笑みを浮かべられた。その『無害ですよ』と言わんばかりの笑顔にまた腹が立つ。
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