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「誠也は強引なところがあるから、美咲さんを困らせてるだろう」
祖父ちゃんはにやにやと笑いながら美咲ちゃんに訊ね、ちらりと俺の方を見る。
「そうですね。いえ、その、誠也君はいつも優しいです」
美咲ちゃんは一瞬肯定の言葉を挟んだ後に、ごまかすようにそう言った。
「いやいや、ごまかさなくていいよ」
「祖父ちゃん!」
祖父ちゃんが美咲ちゃんに妙なことを吹き込まないか、はらはらしてしまう。やっと付き合ってもらったのに、幻滅されて「別れる」なんて言い出されたら――どこかに閉じ込めるしかなくなってしまう。
でも監禁は可哀想だな。優しい美咲ちゃんのことだ、子供ができたら逃げないかな。強引に作ってしまった方がいい?
「……誠ちゃん、顔怖い」
小声で美咲ちゃんに言われ、僕はハッとなる。ちらりと見た美咲ちゃんは、なんだか呆れた顔をしていた。
「祖父ちゃんも人のこと言えないじゃん。祖母ちゃんとの馴れ初めとか……」
「いや、うん。まぁ、それは置いておこう」
今度は祖父ちゃんが、僕の言葉を慌てて遮る。祖父ちゃんも祖母ちゃんをかなり強引な手段で手に入れたのだけれど――まぁ、僕と似たりよったりではある。
「お祖母様との馴れ初め、気になります」
美咲ちゃんはきらきらと目を輝かせるけれど、聞いたらたぶんドン引きすると思うよ……
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