美咲は誠也になにかがしたい

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 大学近くのカフェに移動し、誕生日についての話をする。話の間誠也の顔は蕩けっぱなしで、それを見た女子店員の顔は驚くくらいに真っ赤になっていた。まぁ、気持ちはわからなくもない。誠也は本当に顔がいいのだ。 「そっか~旅行かぁ。いいねぇ」 「うん、次の連休にどうかなって。私のお年玉貯金で出せる範囲の場所になるけど」  バイトをしたことがない私が頼れるのは、小さい頃からの『お年玉貯金』と母からもらうお小遣いだけである。大学生になったしせっかくだからバイトがしたいなぁ、なんて思っていたのだけれど。  ……誠也に、猛反対をされてしまったのだ。 『美咲ちゃんに他の男が目をつけたら!』なんてバカバカしいことを言ってたけど、そんなことあり得ないでしょ。  付き合うようになってから、私と誠也は『半同棲』状態である。いや、九割同棲……かな。誠也のマンションに帰らないと、誠也が大げさなくらいに拗ねてしまうのだ。なので実家には時々荷物を取りに行くだけで、大学にも誠也の家から通っている。  うちの両親はこの『半同棲』にまったく反対しなかった。  両親は誠也に対しての好感度がかなり高い。その上私と誠也が付き合っていると、だいぶ前から勘違いしていた。  なのでこの『好青年』に、迷いなく私を差し出したのだ。 『二度とこんな大きな魚は釣れないからね! 逃しちゃダメよ!』  ……母はそんなことを言ってたっけ。    とにかく。誠也とずっといる状況では、こっそり内緒でバイトをするわけにもいかず。たまに誠也がお小遣いをくれようとするけれど、それは謹んで辞退している。彼氏にお小遣いをもらうってなんなんだ。しかも額がかなり多いし。  サークルに入ってるわけではなく、誰かさんのせいで孤立気味で友達もおらず。デート代はなんだかんだと誠也が全額払ってしまう状況なので、お金はまったくと言っていいくらいかからないんだけど……  ……なんというか、これでいいのかなぁ。
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