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「じゃあ、連休に二泊で、京都駅近くのホテルでいいかなぁ。予算的に安いビジネスホテルになったらごめんね? もっといいホテルで安く泊まれる場所がないかも探してみるけど。現地のバスの乗り放題券も買っておいた方が良さそうだね」
「うんうん、そうだね美咲ちゃん」
スマホで旅行のことを調べている私を見つめながら、誠也は妙ににこにことしていて楽しそうだ。浮かれてるなぁ……旅行の話し合い、ちゃんとしたいんだけどな。
「……誠ちゃん、真面目に聞いてる?」
「聞いてるよ。金閣寺は絶対行きたいよねぇ。あと清水寺の敷地内にある地主神社は、縁結びで有名なんだよね」
「へぇ、そうなんだ。お寺の敷地に神社があるなんて、不思議だね」
「縁結びのお守り、買おうね」
誠也はなにを言ってるんだ。
私たちはもう……その、仮にも結ばれているのに。これ以上雁字搦めに結んでどうするつもりなんだろう。誠也とのお付き合いはぼっちになってしまうこと以外は案外快適ではあるけれど、これ以上の束縛は勘弁して欲しい。
「もう付き合ってるのに、必要?」
「僕は美咲ちゃんと、もっと結ばれたいから」
そう言って誠也は糖分たっぷりの甘い笑みを浮かべた。それを目にすると、自然に頬が熱くなる。小さい頃から見ているのに、美形の破壊力には未だに慣れない。
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