美咲は誠也になにかがしたい

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 私たちが泊まるのは、京都駅近くのビジネスホテルである。連休中で価格も高い時期だったし、旅館は私のお年玉貯金では手が出なかったのだ。風情がないのは少し残念だけれど、利便性を考えると悪くないはずだ。荷物をホテルに置いて悠々観光がしたかったので、アーリーチェックインができるホテルにした。  チェックインを済ませて、ホテル備え付けのお茶を飲みつつほっと一息つく。誠也はと言うと、なぜかお風呂をしげしげと眺めていた。ふつうのユニットバスだと思うんだけど、どうしたんだろう。 「誠ちゃん。お部屋、案外広いね」 「そうだね。……お風呂はギリギリ一緒に入れるサイズかな」 「誠ちゃん? 一緒には入らないよ」  誠也がそんなことを言うので、私はついジト目になった。家でもほとんど一緒に入っているのに、よく飽きないものだなと感心する。私が一人で入っていても、すぐに入ってきちゃうんだよね……。この体を見られるのは恥ずかしいので、遠慮して欲しいんだけどな。 「やだ、一緒がいい」  誠也は甘えるような口調で言うと、こちらに駆け寄りぎゅっと抱きついてきた。ふわりといい香りが鼻を掠め、柔らかな体温が伝わってくる。  顔を上げると額にキスが降ってきて、反射的に目を閉じたら今度は唇にキスをされた。 「美咲ちゃん、可愛い。……したいなぁ」 『したい』ってえっちですよね。ダメだよ、今から観光なのに。 「ダメです。観光に行くんでしょ? もうおばんざいのお店、予約してるんだよ?」 「……むう」 「そんな拗ねた顔をしても、ダメです」  拗ねた表情でこちらを見つめる誠也の鼻をぎゅっとつまむ。鼻をつまんだりしても造形が崩れないんだな。美形はずるすぎる。 「わかった。じゃあ、夜にホテルに戻ってからだね」  誠也は仕方なさげに言うと、名残惜しそうに額にキスをしてから離れてくれた。誠也はともかく、観光の後に私にそんな体力は残ってるのかな……
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