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「美咲ちゃんはどうして、僕の『可愛い』を信じてくれないのかなぁ」
「誠ちゃんが私を、その。か、可愛いと思ってくれてるのは、たくさん伝わってるよ。でも他の人から見たら……」
今だって不似合いな私たちは、ちらちらと他のお客に見られている。その面白がるような、そして敵意を含んだ視線を受けるたびに、私はいつでもどうしていいのかわからなくなるのだ。
誠也とずっと一緒にいるために……私は強くならないといけないのに。
「美咲ちゃんは、世界一可愛い」
「……ちゃんと、聞いてる?」
茶化された気がしてじろりと睨むと、誠也はなぜかだらしない笑みを浮かべる。どうしてデレッとなってるの。そんな要素が今の会話のどこにあったのだろう。
「美咲ちゃんは赤の他人と僕、どっちを信じる?」
「それは……誠ちゃんかな」
「うん。じゃあ見た目に関しても、それでいいんじゃないの? 僕を信じて? 美咲ちゃんは、世界で一番可愛い!」
……そんなわけには、いかないでしょう。
誠也の価値観に寄り添ったら、ちょっと美的感覚がおかしいナルシストになってしまう。
そうは思うものの、そのあまりにバカらしい提案に私は吹き出してしまった。
「笑ってると、さらに可愛くなるよね」
「誠ちゃん、止めて。本気で恥ずかしいから」
「止めない」
そんなバカな会話をしていると、料理が席に運ばれてくる。
その運ばれてきた料理を見て、私は目を輝かせた。
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