美咲は誠也になにかがしたい

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 デザートのお店は、おばんざいの店から十分ほどの距離にあるらしい。ベストな選択肢かつ、体力があまりない私に無理をさせない距離にあるお店を選んでくれていることが窺えて、その気遣いに心がじわりと温かくなった。  ――誠ちゃんは、本当に私のことばかりだ。  私のことばかりで、自分のことはすぐになおざりにしてしまう。そんな誠也だから……彼のことは私が大事にしないと、ダメなんじゃないだろうか。 「じゃ、行こうか。美咲ちゃん」  地図をしっかり頭に叩き込んだらしい誠也が、笑顔で手を差し出してくる。私はその手を取らずに……意外にがっしりとした男の子らしい感触の腕にそっと腕を絡めた。勢い込んでやってみたものの、慣れないことをすると恥ずかしい。 「美咲ちゃん!? ど、どうしたの?」  誠也がそんなふうに動揺するものだから、なおさら羞恥心が増してしまった。 「誠ちゃんと腕を組みたくて……嫌?」  顔を真っ赤にしながら身長差があるため自然になってしまう上目遣いで見上げると、誠也の顔もみるみるうちに真っ赤になる。 「嬉しい。すごく嬉しいけど……急にどうしたの?」 「か、彼女だから。腕くらい、組んでいいかなって。嫌なら、しない」 「してください! お願いします!」  必死の懇願に、つい笑い声が漏れてしまう。  笑う私を見つめながら、誠也もへにゃりと笑った。
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