美咲は誠也になにかがしたい

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 着いたのは和を基調としているのだけれど色合いがパステルで可愛らしい、いかにも『若い人がターゲットです』という雰囲気のお店だった。その感想を誠也に伝えると、「美咲ちゃんも、若い人でしょう」と楽しそうに笑われてしまう。 「若い人らしいこと、あんまりしてないからなぁ」 「美咲ちゃんの、若い人らしいことのイメージってどんなの?」 「どんなのだろうね……?」  私は家でのんびりしながら、本を読んだり映画を見たりするのが好きな完全インドア派だ。大学生活は誠也にべったり張りつかれていて他の学生とはあまり触れ合わないし、誠也絡みでいろいろあったせいで昔からの友達は少ないしで、皆がなにをしているのかさっぱりわからない。  誠也はいろいろなイベントごとに誘われるみたいだけれど、『美咲ちゃんと一緒にいたいので』とすべて断っているそうだ。学生時代の思い出作り、なんてものに興味はないらしい。  若さとはなんだろう? なんてことに思いを馳せつつ席に着くと、いかにも『若さ溢れる』という感じの二十代前半に見える可愛らしい店員さんがメニューを席に持ってきてくれた。 「わ、どれも美味しそう!」  先ほどご飯を食べたばかりなのに、美味しそうなパフェが並んだメニューを見ると私のお腹はすぐにデザートの隙間を空けようとする。  もしかして、この胃の元気さが『若さ』だったりするのかな。  体重がこれ以上増えないように、もっと慎ましやかにしてて欲しいんだけどなぁ……
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