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苺のアイスを口にしながら誠也のことをふたたび見れば、視線がしっかりと絡み合う。誠也は私のことをよく見てるから……目が合う率がとても高い。いつでも気が抜けなくて、ちょっとだけ困るんだよなぁ。
「……あのね、誠ちゃん」
「なに? 美咲ちゃん」
「ありがとう、いろいろ」
「……いろいろ?」
お礼を言えば、誠也の大きな目がまん丸になる。うん、自分でも唐突なお礼だなって思ったよ。
「えっとね……」
思考を巡らせて、伝えたいことを整理する。私はとろいから、こういう時に言葉が上手く出てこない。だけど誠也はいつも、私の言葉を辛抱強く待ってくれる。
「誠ちゃんが私のことを追いかけ続けてくれたおかげで、今こんなに幸せなんだなって。しみじみ思ったの。だから、ありがとう」
言語化すると恥ずかしい。けれど気持ちをちゃんと伝えられたことが嬉しくて、私は照れ笑いを浮かべた。
誠也はしばらくこちらを凝視して……ため息をつきながら両手で顔を覆ってしまった。
「……そういうことは、ホテルで言って?」
「え?」
「そんな可愛いことを言われたら、今すぐ抱きしめて無茶苦茶に抱きたくなる」
「なっ……!」
誠也の言葉に、頬が強い熱を持った。ななな、なんでそうなるのかな! えっちな方向に行く発言なんて、してないと思うんだけど!
「……誠ちゃん、えっちだ」
「美咲ちゃんが可愛いから、仕方ない」
「私のせいにされた……」
頬を膨らませながら抹茶パフェを食べていると、愛おしげな視線が投げられる。そして小さな声で「僕も、幸せ」と告げられた。
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