美咲は誠也になにかがしたい

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「わぁ~! すごい!」  いわゆる清水の舞台に立ち、壮観な景色を見ながら私は感嘆の声を上げた。舞台は想像していたよりも高い場所にあって、この高さを釘の一本も使わずに組み上げていると知った時には驚いた。 「……いい景色だね」  隣で誠也も景色を見ながら目を細める。  舞台から見える新緑は美しく、青空とのコントラストがその色鮮やかさをさらに引き立てている。新緑の間からニュッと顔を出している、朱塗りの塔も可愛いな。 「あの塔、赤が綺麗だね」 「子安塔だね。たしか安産祈願の──」  誠也は言葉を切ると、私のお腹をちらりと見る。  いやいやいや、在学中に妊娠するつもりはないからね!?  卒業してからなら別に構わない……というか誠也がその気満々なので『仕方ないな』って思えるけど。まだ何年も先の話だもんね。  それにしても…… 「誠ちゃん。お腹、見すぎなんだけど!」  お腹をじっと見つめたままの誠也に、私は小声で抗議をした。  食事とパフェを詰め込んだお腹を、そんなに凝視しないでほしい! ただでさえ丸々としているお腹が、今はさらに膨らんでいるのだ。 「可愛いお腹だから、つい見ちゃうんだ」 「誠ちゃんの、変態!」 「変態なのは否定しない。適用されるのは、美咲ちゃん限定だよ?」 「そんな限定嬉しくない……!」  限定品なら、もっと素敵なものがほしい。  涙目になりながら睨んでいると、額にそっとキスをされた。そして悪戯っぽい笑みを向けられる。 「──っ」  うう……うっかりキュンとしてしまうじゃない。へ、へ、変態相手なのに!
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