TOKYO NIGHT 05

3/4
前へ
/131ページ
次へ
手を取られた時に、歩は慌てて身を引いた。 「玄! 俺、やっぱり……」 玄はかまうことなく、歩の両膝を腕で押して、山を崩した。不自然な膨らみで、体の熱が引いていないことを露呈してしまった。 真面目な話をしていたから、やけに恥ずかしい。 「ん、わかってる。でもこのままじゃ辛いでしょ?」 敏感な部分を指の腹でひと撫でされて、息が上がってしまった。 「あ、トイレで————」 言いかけた時、唇を塞がれた。 舌が入ってくるのと、熱い部分に指先が絡み付いてきたのはほぼ同時で、声を上げそうになった。 玄の背中に手を回し、シャツを掴む。 引き剥がそうとしてるのか、求めているのか——自分でもわからなかった。 「玄、だめ……。やめて」 「大丈夫。ただのお手伝いだから」 数回、上下に扱かれただけでもう何も考えられなくなった。 「はぁ……っ、はっ」 理性とは脆いもので、ひとたび刺激されれば、この有り余った熱をどうにかしてしまいたいという、単純な欲求で埋め尽くされてしまった。 「ぅ……っ」 フラッシュを焚かれたような閃光が走り、胸を膨らませて荒い呼吸を繰り返した。 発散されたはずの熱はまだ体内にあり、疼きをともなっている。 「まだおさまらないね。歩、腰浮かして」 歩は半ばぼんやりしたまま、言われたとおりに腰を浮かした。 そう言うと、玄はソファの下からなにかを取り出し、歩のパンツを下着ごと下ろして、床に放ってしまった。 「なに……」 片足を抱えられ肩に担がれたとき、ずれていた意識のピントがふたたび合った。 彼の手元を確認しようと顔を上げた時、尻になにか冷たいものが伝った。 指先が、ある部分を弧を描くようにして執拗に撫で回す。 同時にふたたび反応しかけた自身を扱かれた時、意図していない高い声が、喉の奥から押し出されるようにして漏れた。 「あぁ……っ」 玄の指先はローションらしきもので滑っていて、少し動かされるだけで強烈な快感をもたらした。 全身から力が抜けた瞬間、周囲をぐるぐると回っていたボールがゆっくりと穴へ落ちるようにして——指先が侵入してきた。 「う、あっ」 異物感と快楽がせめぎ合い、歩を追い詰めていく。 感情の糸はぷっつりと切断されているはずなのに、目尻から涙が溢れ出した。 「それ、あっ……やだっ」 後ずさる歩を求めるように、指先が追いかけてくる。 玄は最初からあたかもわかっていたように、ある一定まで侵入してくると、少し指を曲げた。 「あっ、ぁ……っ」 疼いていた熱の芯を直接突かれるような刺激に目眩がして、自分の声らしきものが、ずっと遠くで響いている気がした。 玄はしばらくこちらを見下ろしていたが、やがて体を前に倒して唇をぶつけてきた。 「んぅ……、ふっ」 唇が離れた後、玄は前を刺激する手を止めて、至近距離でこちらを見つめていた。 歩は視線を下にずらした。 彼の指が出入りしている場所は、意識がぼんやりとしていてもわかる。 信じられない。薬のせいだろうか。 あんなところをいじられて、こんなに———— 「あ、だめ……っ、だめ!」 絶頂の波が押し寄せて、玄の腕を掴んだ。 しかし彼は意地悪く笑って、より小刻みな、繊細な動きで歩のささやかな抵抗を封じた。 「玄、まって、いっちゃ……っ」 歩は腕で目を隠しながら、快楽にあっというまに飲まれた。 ふたたび前を扱かれると、2度目の、先ほどよりも強烈な閃光に支配された。 「あ、あ……」 体が痙攣し、玄の指先を締め付けたのがわかった。 腕で顔を覆ったまま、息が整うのを待つ。 しかし、それもままならないうちに、腕越しに玄の気配を感じて、やがて腕を解かれた。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

798人が本棚に入れています
本棚に追加