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手を取られた時に、歩は慌てて身を引いた。
「玄! 俺、やっぱり……」
玄はかまうことなく、歩の両膝を腕で押して、山を崩した。不自然な膨らみで、体の熱が引いていないことを露呈してしまった。
真面目な話をしていたから、やけに恥ずかしい。
「ん、わかってる。でもこのままじゃ辛いでしょ?」
敏感な部分を指の腹でひと撫でされて、息が上がってしまった。
「あ、トイレで————」
言いかけた時、唇を塞がれた。
舌が入ってくるのと、熱い部分に指先が絡み付いてきたのはほぼ同時で、声を上げそうになった。
玄の背中に手を回し、シャツを掴む。
引き剥がそうとしてるのか、求めているのか——自分でもわからなかった。
「玄、だめ……。やめて」
「大丈夫。ただのお手伝いだから」
数回、上下に扱かれただけでもう何も考えられなくなった。
「はぁ……っ、はっ」
理性とは脆いもので、ひとたび刺激されれば、この有り余った熱をどうにかしてしまいたいという、単純な欲求で埋め尽くされてしまった。
「ぅ……っ」
フラッシュを焚かれたような閃光が走り、胸を膨らませて荒い呼吸を繰り返した。
発散されたはずの熱はまだ体内にあり、疼きをともなっている。
「まだおさまらないね。歩、腰浮かして」
歩は半ばぼんやりしたまま、言われたとおりに腰を浮かした。
そう言うと、玄はソファの下からなにかを取り出し、歩のパンツを下着ごと下ろして、床に放ってしまった。
「なに……」
片足を抱えられ肩に担がれたとき、ずれていた意識のピントがふたたび合った。
彼の手元を確認しようと顔を上げた時、尻になにか冷たいものが伝った。
指先が、ある部分を弧を描くようにして執拗に撫で回す。
同時にふたたび反応しかけた自身を扱かれた時、意図していない高い声が、喉の奥から押し出されるようにして漏れた。
「あぁ……っ」
玄の指先はローションらしきもので滑っていて、少し動かされるだけで強烈な快感をもたらした。
全身から力が抜けた瞬間、周囲をぐるぐると回っていたボールがゆっくりと穴へ落ちるようにして——指先が侵入してきた。
「う、あっ」
異物感と快楽がせめぎ合い、歩を追い詰めていく。
感情の糸はぷっつりと切断されているはずなのに、目尻から涙が溢れ出した。
「それ、あっ……やだっ」
後ずさる歩を求めるように、指先が追いかけてくる。
玄は最初からあたかもわかっていたように、ある一定まで侵入してくると、少し指を曲げた。
「あっ、ぁ……っ」
疼いていた熱の芯を直接突かれるような刺激に目眩がして、自分の声らしきものが、ずっと遠くで響いている気がした。
玄はしばらくこちらを見下ろしていたが、やがて体を前に倒して唇をぶつけてきた。
「んぅ……、ふっ」
唇が離れた後、玄は前を刺激する手を止めて、至近距離でこちらを見つめていた。
歩は視線を下にずらした。
彼の指が出入りしている場所は、意識がぼんやりとしていてもわかる。
信じられない。薬のせいだろうか。
あんなところをいじられて、こんなに————
「あ、だめ……っ、だめ!」
絶頂の波が押し寄せて、玄の腕を掴んだ。
しかし彼は意地悪く笑って、より小刻みな、繊細な動きで歩のささやかな抵抗を封じた。
「玄、まって、いっちゃ……っ」
歩は腕で目を隠しながら、快楽にあっというまに飲まれた。
ふたたび前を扱かれると、2度目の、先ほどよりも強烈な閃光に支配された。
「あ、あ……」
体が痙攣し、玄の指先を締め付けたのがわかった。
腕で顔を覆ったまま、息が整うのを待つ。
しかし、それもままならないうちに、腕越しに玄の気配を感じて、やがて腕を解かれた。
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