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彼は歩のスウェットを下ろして下着ごとはぎとってしまうと、立てたままの膝に唇を落とし、それから太もも、足の付け根へとキスを移してきた。
先ほど熱を放ったばかりにもかかわらず、キスだけでふたたび中心は疼き、反応していた。
足を開かれ、腿の内側を舌が伝った時、歩は首を持ち上げて神楽坂を伺った。
舌はさらにその奥へと移動していき、ついには唯一の侵入路へと押し入ってきた。
「汚いよ……」
舌でなぞられるたび、力が入ってしまう。
そして、ふたたび熱の中心に手を添えられると、体の力が抜けて、侵入を許してしまった。
ついには前腿を腹部につけられ、海老のように体を折りたたまれてしまった。
神楽坂は覆いかぶさるようにして、舌と指で煽ってくる。
「あっ、あ……」
なにがどうなっているのかは、もう把握できなかった。
身体中を、それぞれ異なる快感がまとわりつき、歩を攻め立てる。
泣きそうな情けない声が漏れてしまうことも、徐々に気にする余裕がなくなってきた。
「ん、あっ、あ……っ」
やがて、舌とは異なる感触が体内に入ってきた。
歩の体内をゆっくりとかき回し、まるではじめから知り尽くしていたかのように、歩の快楽の糸を簡単に手繰り寄せてしまった。
「あぁ……っ」
「ここどう?」
「いい……。きもちい……っ」
恥じらう余裕すらなく、率直な感想を述べた。
身震いがしてくる。
神楽坂はこちらの表情を伺いながら、快楽の深部を探り当てようとする。
そしてついに、彼の指がそこに到達した時、叫びにも近い声が、喉元から込み上げた。
「あぁ……っ!」
「いいの?」
耳打ちされたが、応じてなどいられなかった。
神楽坂は探り当てた官能の弦を丁寧に弾くようにしながら、歩を操る。
徐々に追い詰められていくような感覚がこわくなり、余裕のなさも相まって、目尻に涙が溜まってきた。
「あ、や……手、やだ……っ」
彼が手を止めることはなかった。
絡みつく視線は歩をじわじわと煽り、嬲っていく。
「あ……! あっ————」
身体の奥深くからくる震えは、中心から末端へと広がっていき、意識さえもさらっていく。
全身が硬直し、受け入れていた神楽坂の指先を、締め付けた。
「ん、はぁ、あ……っ」
——なにが起きたのだろう。
雷に打たれたかのような衝撃だったが、射精はしていない。
放心したまま、短い呼吸を繰り返しているうちに、うつ伏せにされた。
背骨を伝うように、神楽坂の熱い息がかかる。
すぐ横に、彼の着ていたTシャツが脱ぎ捨てられた。
歩は振り返ってその上半身を眺めた。
特別鍛えている感じではないが、程よく筋肉があって、腹部は締まっている。
初めて見る裸体に、つい見入ってしまった。
「どうしたの?」
「なんか、信じらんなくて……」
神楽坂は前屈みになり、うなじにキスをしてきた。
そして、しばらく体が離れたのちに、彼の体がふたたび重なってきた。
尻たぶにはっきりと彼の欲情を感じて、微かな恐怖と、大きな喜びが歩を満たした。
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