接近 06

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「歩は子どもで——俺は大人だから。俺は君を導くことなんてできない。しちゃいけないと思ってる」 歩は彼の腹に、すっかり猛った自身を擦り付けた。 彼のそれも、歩ほどではないものの反応している。 「これ、どうすればいい?」 神楽坂の手を取り、自身に当ててみる。 そのうえから自分の手のひらを重ね、操るように動かしてみるが、力が一切込められていない。 手を解くと、彼の手もソファの下へと垂れ下がってしまった。 自ら触れるつもりはない。触れてはいけないという、彼の強い意志をはっきりと感じて——歩は一度、体を離した。 制服のベルトを外し、ボトムスを下げると、神楽坂がはっとしたようにこちらを向いた。 その無防備な瞬間にふたたび唇をぶつけてこじ開けた。 一方的なキスを繰り返しながら、自身に手を伸ばし、ゆっくりと扱く。 「ん…………っ」 歩は、とにかく必死だった。 口を開けてくれないまま、人形のように固まっている神楽坂の歯列をなぞりながら、自ら快楽を追う。 キスの合間にもれる熱い吐息を、神楽坂の下唇や首筋にぶつけてやる。 「恭ちゃん……触ってよ……」 神楽坂はやはり微動だにしない。 しかし、そのまつ毛の茂みから見え隠れする瞳が、いつのまにか歩の体をなぞるようにして動いているのに気づいた。 こちらの手元を執拗に見つめている。 どこか冷淡なその視線を強く感じたとき、体の芯がじんと火照るような、そんな淡い興奮に包まれた。 「はぁ、ぁ……ぁ」 歩は興奮を少しも隠さなかった。 絶頂が近くなって目をつぶっても、神楽坂が視線を注いできていることはわかった。 「あ、出る……でちゃ、うっ」 彼に見られている。 それを意識するだけで、甘く痺れていく。 歩は彼の肩に額を乗せて、快楽に意識を集中させた。 「い、く……っ」 彼の耳に声を差し込みながら、歩は達した。 数回、荒い呼吸を繰り返してから、まだぼんやりする意識のなかで、彼の興奮をさきほどよりもはっきりと、臍のあたりに感じ取った。 歩はそのまま神楽坂の胸に顔をつけた。 「恭ちゃん、本当に触れてくれなかったね」 それならそれで仕方がない。 しかし、このまま引き下がるつもりもなかった。 歩はポケットを弄り、ウェットティッシュで手のひらに付着した体液を拭き取ると、ソファから降りて、すぐ真下のフローリングに膝をついた。
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