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「えーっ。どうしたの、海里ちゃん。な、なんで、海里ちゃんが謝るの?」
「だって政海、あの男こっぴどくフッてやるって意気込んで折角ここまで来たのに、あの男の変貌ぶりに・・・・政海にキスしようとしたし、なんか、スゲームカついて・・・・私が台無しにしちゃって・・・・ほんとゴメン」
「いいよ。怒ってなんかいないから、顔を上げて」
政海がしゃがみこんで、私を覗き込んで来た。可愛い顔に、思わずトキめいた。
あれ、おかしいな。政海はブスの筈なのに。
「海里ちゃん」
「だから、海里ちゃん言うなって言ってるだろ!」
「僕、嬉しかったよ。海里ちゃんが僕の事で真剣に陽水君に怒ってくれて。こんな僕の為に、本当にいつもありがとう」
可愛くなった政海が、私に満面の笑みを見せてくれた。
ズッキューン!!
十年・・・・いや、もっとそれ以上だ。政海はブスだと思っていた。
こちとら、親友のポジションに就いていたはずだった。
しかし、そんな私のハートを、今の美少女政海がブチ抜いた。
高校卒業の今日、私は斎賀政海に恋をした。
そして、私は決めたのだ。
上京を期にお嬢様も卒業して、可愛くなった政海に釣り合うような、本物の、本当の男よりもカッコイイ、最高のイケメンになってやろう、と――
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