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「好きです! 付き合ってください!!」
「政海さんっ、お鞄お持ちます!」
「僕と一度、デートしてくれませんか!?」
大学の入り口に着いたら、何時ものように大群の男性に囲まれた。僕は困ったように会釈をして、そそくさと学内へ入る。
しかし待ち伏せていた大勢の男が、僕を追いかけてきた。
「政海さん! 待ってください!」
「今日こそ僕とお食事へ!!」
「デートおおおおー、してくれえええー」
高校卒業を期に、僕は大学デビューを果たした。海里ちゃんにやってもらったように、春休み返上で猛勉強してお洒落を頑張り、可愛く変身する事に成功した。
結果、根暗男でどうしようもないオタクだった僕が、どこからどうみても女の子にしか見えなくなった。美少女へ変身する事に成功した僕は、海里ちゃんと一緒に東京にある聖青大学という、結構なレベルの大学へ入学を果たした。
海里ちゃんと離れたくなくて、苦手な勉強を頑張った甲斐があり地方の田舎から上京してきたものだから、僕たちの事を知っている人間は誰もいない。
現在、大学デビューを果たした僕。色々試して、一番似合っていた赤みがかったピンクのツインテールのウィッグが定着した。僕はこのツインテールのウィッグに、パッチリメイクが良く映える、自分の事を『僕』と言う、ちょっと風変わりなのんびり系美少女という立ち位置を手に入れた。
そして海里ちゃんは――
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