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「おい、お前等、政海が嫌がっているだろ。止めてやれよ」
スラッとした体躯に加えて僕よりも長身。更に男の僕よりもハスキーボイスに切れ長で美しい真っ黒の瞳。少し赤みがかっていた綺麗なダークブラウンの長かった髪は、上京前にバッサリ切り落とし黒く染めて短くして、しっかりワックスで整えている。ヒールの高いメンズブーツを履きこなし、スリムな黒のパンツに白いシャツ。モノトーンのいで立ち――現在の海里ちゃんだ。
「海里ちゃ・・・・」
「政海」
鋭い目線で見つめ、海里ちゃんと言おうとしてしまった僕を律した。
きゃあああーっ、海里ちゃん、本当にカッコイイ!!
上京を期に、僕たちは男女逆転した。僕は美少女へ、海里ちゃんは学内で一位、二位を争うほどのイケメンへ。勿論、僕たちの本当の正体(というか性別)は誰も知らない。
学校のみんなは僕を女だと思っているし、海里ちゃんを男だと思っている。
入学してすぐ、僕と海里ちゃんは容姿が抜群すぎて変に目立ってしまい、注目を浴びてしまった。入学したてなのに、もう僕は『ミス聖青大』とか呼ばれちゃうし、海里ちゃんは相当女子に人気が出ている。
大学に通い始めて一週間と少し経つのだけれど、僕が他の男たちに待ち伏せされるようになったから、海里ちゃんが助けてくれるようになった。
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