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僕が慌てふためいていると、他の男性陣から更にブーイングが飛んだ。そして中でも海里ちゃんより長身の男性、沢峰卓(さわみねすぐる)君が、海里ちゃんから僕を引き離すように割り込んで来た。
卓君はスポーツをしていたのか、かなりの長身で身長も百八十五センチくらいある。他のなよっとした文系男子みたいなのじゃなくて、勇ましくてカッコイイ。しっかりとした筋肉があるから、細マッチョみたいな感じで、目鼻立ちが整った結構な二枚目だ。ソフトモヒカンで、いかにもスポーツマンタイプの男性。
「よお、おふたりさん。なあ海里。政海を独り占めするのはズルいぞ。ミス聖青大の政海を独占する権利は、幾ら幼馴染のお前でも許せんなぁ」
「卓」
海里ちゃんが卓君を流し見した。その姿に、僕がドキっとしてしまう。
ううう・・・・海里ちゃん、本当にかっこよくなっちゃった! ドキドキする事が増えてしまって、僕はどうしようか困っている。
「私は政海の母親から、悪い虫が付かないように頼まれているんだ。彼女にちょっかいかけるのは遠慮してくれ」
フン、と鼻を鳴らして卓君の睨みをかわす海里ちゃん。あああ、本当にカッコイイ。どうして海里ちゃんは女性なんだろう。本物の男性だったらよかったのに。そして僕も本当の女性だったら海里ちゃんと・・・・。そんな不可能な未来を予想してしまうんだ。
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