第1話 ~政海ちゃんと海里くん~

8/19
前へ
/396ページ
次へ
 僕、何時も海里ちゃんの事を考えてしまう。陽水君の時とは比べ物にならないくらい、海里ちゃんにドキドキしている。あんなにずっと近くにいたのに。どうして何とも思わなかったんだろう。今までは素敵な女の子だと思っていたけれど、男装を始めてからどんどん好きの気持ちが加速しちゃう。海里ちゃんは本当の男じゃないから、僕みたいな女でもなく男でもない人間は、きっと相手にしないだろう。海里ちゃんは・・・・好きな人、いるのかな。  海里ちゃんが好きになる子って、やっぱり女の子なのかな? それともカッコイイ男の人?  あああーっ。  毎日がモヤモヤだ。カワイイ女の子になったら、もっと僕は生まれ変われると思っていたのに、全然現実は違う。何とも思っていない男に言い寄られても、気持ち悪いだけ。僕が触れて欲しい人は、ただ一人・・・・。 「どうした、政海」  鋭い目線で見つめられた。  ひゃあーぁーん。海里ちゃんがカッコよすぎて見惚れてたとか言ったら、政海KM(キモ)って言われちゃうんだろうな。そうなったら、すごく傷つきそぅ。好きな人にそんな事言われたら・・・・ダメだ。立ち直れない。陽水君の時も悲しかったけど、きっとそれ以上に大ダメージを喰らいそうだ。しかも慰めてくれる海里ちゃんがいない。本人にそれ言って玉砕した場合、どうしたらいいのだろう。  海里ちゃんの事を意識し出してから、僕の動悸はおかしくなるばかりだ。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

712人が本棚に入れています
本棚に追加