第1話 ~政海ちゃんと海里くん~

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 それよりも、さっきの事を思い出すと顔が赤くなる。  なんて大胆な事をしちゃったんだろう。海里ちゃんの指を食べちゃうなんて・・・・。  だって、手を繋いでくれたのが嬉しかったんだ。違うと思うけど、恋人つなぎみたいに思えて・・・・。だからあのまま。海里ちゃん、僕・・・僕! ガバッ! っと抱きしめて、キスしちゃったりとか・・・・そういうの無意識に考えちゃった結果論だと思う。  ああ、また妄想が止まらないよ。  海里ちゃんはさっきも優しかった。手を優しく握り返してくれて、彼女(?)の言う事にドキドキしながら従っちゃうんだ。 『政海、可愛いな』  可愛いって、他の男の人じゃなくて、海里ちゃんに言って貰いたい。  ああ、僕の脳内の海里ちゃんは僕が好きで、可愛いって囁いてくれて、そのままキスできる距離まで近づいて―― 「おっはよー、政海」 「きゃんっ」  声をかけられたので、驚いて声を出してしまった。妄想から現実に引き戻された。
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