第1話 ~政海ちゃんと海里くん~

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 妄想していた僕に声をかけてくれたのは、ポニーテールを揺らしながら隣の席に座ってくる女の子――同級生の、田辺美乃梨(たなべみのり)ちゃん。明るくハツラツとしていて、僕みたいな不思議系でも仲良くしてくれる、相当いい人。勿論、僕が男だという事は、美乃梨ちゃんは知らない。でも僕自身は、身体は男でも心は女だから、美乃梨ちゃんはガールズトークができる唯一の女友達だと心から思っている。 「ねえねえ、政海っ。アンタさあ、あの二階堂君にも告白されたってホント?」 「あ・・・・いやまあ、あはは・・・・」  今、話に出てきた二階堂君――本名、二階堂琉斗(にかいどうりゅうと)君は、海里ちゃんに負けず劣らずの美男子。長身でこれまた海里ちゃんより背が高く、卓君と引けを取らない。甘いマスクは田舎の地元で人気があった、陽水君を思わせる。歌やダンスがとても上手く、入学式が終わって、校内で早速曲かけて踊っていた、結構目立ちたがり屋さん。  そんな琉斗君を、キャーキャー言って女子が噂をしている。さっきの卓君や海里ちゃんも女子たちから名前を聞く。  本当、女子(僕を含め)はイケメンのチェックが早い。  でも、僕の心は決まっている。新庄海里ちゃん一本だ。
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