第1話 ~政海ちゃんと海里くん~

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  「新庄君と幼馴染なんて、政海羨ましすぎ―!」 「あー、うん。海里ちゃ・・・・ううん、海里は何時も、僕に優しくしてくれて、とってもカッコよくて、高校ではバレーボール部だったんだけど、エースで活躍していて、インターハイで優勝しちゃったんだよ!」  思わず海里ちゃんの活躍を思い出して、ペラペラと喋ってしまった。  美乃梨ちゃんと女子トークするのは、本当に楽しい。 「そっかぁー。幼馴染だと、色々新庄君の事知っているよね。そんで、政海は何時から新庄君の事好きなの?」 「・・・・あの・・・・実は・・・・・・・・自分の気持ちに気が付いたのは、つい、最近」 「最近ン!?」美乃梨ちゃんが目を見張った。 「うん。海里・・・・の事は今までは特に意識してなくて。僕、地元で他に好きな男性がいたんだ。上京前に玉砕して、でも、海里・・・・が僕の事励ましてくれて・・・・。それから、何だか急にカッコよく見えちゃって、なんか・・・・上京してから、気になるようになったんだ」 「へええー、そっか。政海を何時も気にかけてくれるから、遂に新庄君に恋しちゃったワケだね! 新庄君も政海が好きだったりして! キャーっっ」 「そ、それは無いよ。きっと、僕なんか・・・・」  何時もブスって言われていたし。でも、最近は言われなくなった。可愛いよ、って褒めてくれることの方が多い。 「そっかー。だから二階堂君の申し込みも断っちゃうワケなんだねーっ」 「う、うん。だから・・・・海里・・・・以外とはお付き合いとか、考えた事なくて・・・・。僕みたいな人間に『付き合おう』とか声を掛けてくれるのは嬉しいけれど・・・・」 「またまたぁー。政海は謙遜しすぎだよ。政海がそんなにテレッテレで新庄君の事話してくれるから、こっちまで応援したくなっちゃうよ」 「応援・・・・してくれるの?」  美乃梨ちゃんの言葉に、思わず聞き返してしまった。 「あったりまえじゃん! 政海の恋を応援するのが、友達でしょっ」 「美乃梨ちゃん・・・・」  海里ちゃん以外の女の子に、初めて『応援』して貰った。嬉しくて、嬉しくて、ついぽろっと泣いてしまった。
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