第2話  ~海里くんと政海ちゃん~

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  「えっ、軽音ン?」思わず聞き返した。 「そうなんだ。友達の美乃梨ちゃんが誘ってくれてね、僕も入ろうと思って! 海里ちゃんも一緒にやろうよぉ」 「えーっ、私バイトしようと思ってたんだけど・・・・」  現在、大学の授業が終わって、近所の商店街で買い物してきた所。  この商店街、安くて美味い魚屋があるんだ。ねじりはちまきして、ヒラメそっくりの魚屋のオヤジが切り盛りしている、平岡商店。刺身とどっちにするか悩んだけど、政海がお好み焼きを食べたいって言っていたのを思い出したから、刺身は止めてイカとタコ買って、八百屋でキャベツ、更に商店街の中にあるミニスーパーでバラ肉とお好み焼きの粉買って帰ってきた。この商店街は小さいけれど、一通り何でも揃うから便利だ。  しあわせ荘の自宅に帰ると、早速政海から軽音サークルに入らないかと誘われた。なんで帰宅後も一緒にいるかというと、しあわせ荘一階一号室が私と政海の借りている部屋で、二部屋あるから、家賃を浮かす為に一緒に暮らしている。一応、別々の空間にはなっている。キッチンやら風呂やら、狭いものだけど全部そういうのは共有。  好きな女(政海は男になるのか?)と一つ屋根の下で暮らすのって、結構キツい。理性を保つのがこんなに辛いものだなんて、私は生まれて初めて知った。政海を押し倒したくなって、仕方がないんだ。  実際の私は、見た目は男、心も男になったけれど、肝心の身体は女のままだ。身体も男になりたいから、手術でなんとかなんねーのかなって、最近本気で思う。
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