芽生えた感情

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「食べればいいのだな?私はハトや蜘蛛などを解剖した後は、味を学習する為に食べている。悪ではないんだな」  美玲は首を縦に振り、納得している様子だ。 「えっ?…そんな事しちゃ駄目だよ…美玲は解剖なんかしちゃ駄目なんだ。ましてや、それを食べるだなんて…」  竜二は顔色を変え、初めて美玲に恐怖を感じた。 「何故だ?食べればいいのだろう。何故、私は解剖してはいけないんだ?学習する為には、解剖しなければならないのだぞ」  美玲は振っていた首を止め、じっと竜二を見詰める。   「…解剖は研究者かなんかがやるもんなんだよ。美玲は研究者ではないだろう?」  竜二は考えた末、それを言葉にした。 「研究者以外でも解剖はやるだろう。私は小学生の頃、授業で鮒の解剖をやった事がある。クラスメートもやっていたぞ」 「…上手く説明できないけど、美玲は解剖なんかやっちゃ駄目だよ…俺は美玲にそんな事やって欲しくない」  竜二はうまく説明できないもどかしさで、唇を噛んだ。 「平山竜二は私が解剖をやるのが嫌なのか?」 「嫌だ」  竜二は涙ぐみ、眉をへの字に曲げた。 「そうか。人が嫌がる事をやるのは悪い事だ。それを私は学習済みだ」  美玲は竜二の目を見詰め、頷いた。 「じゃあ、解剖はもう止めてくれるんだな?」  竜二は顔を前に突き出し、美玲の答えを待った。 「うむ。悪い事はやってはいけない。それを私は学習済みだ」 「…ありがとう」  竜二は安堵し、溜め息を吐いた。 「礼にはおよばん。平山竜二、これからも私の知らない事を教えてくれ。私は学習しなければいけないからな」
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