"Introduction"

2/2
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「もうしゃべっても……いいですよね?」 恐る恐る、といった表情で長身の男性は言った。 「大丈夫みたいですね」 特に何も起こらなかったので、私も口を開いた。 私たちは、突然集められ、この『Restrict Rooms』というゲームに参加させられた。 部屋には4人。私のほかには男性が2人と、女性が1人だ。 「とりあえず、役職の確認をしておきましょうか?」 若い男の子が手を挙げて提案した。 「言い出しっぺなのでまず僕が見せますね」 操縦者<Controller> 念じるだけで物を動かすことができます。ただし、軽いものかつ材質のわかっている物しか動かせません。 続いて、私も能力を見せた。 記述者<Typewriter> 見聞きしたこと、思ったことを自動で端末に記録します。他のプレイヤーの端末と共有もできます。 「とりあえず、今までの情報とか会話も共有しておきますね。何かに使うかもしれないので……」 「かなり重要な能力ですね。私のはどうやって活用するのやら……」 長身の男性の役職はこうだった。 小身者<Littlewalker> 体を小さくできます。 しょうしんもの、と読むのだろうか。 「あとは……」 自然とみんなの視線が残る女性に向いた。 「教えたくない」 「えっ?」 「能力が必要なときはちゃんとやるから。今は言いたくない」 強い語気に、それ以上は追及できなくなってしまった。 「じゃ、じゃあ心の準備が良ければ始めますか!」 「そうですね、頑張りましょう!」 私は不安を上書きするように、気合を入れた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!