"Jumping is restricted"

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また、真っ白な部屋。 今度は見渡しても何もない。 すると壁に文字が表示された。 『鍵を探し出せ』 「鍵を探せ……手分けして探しましょうか」 各々、思い思いの方向へ歩き出し鍵を探した。 私は壁伝いに歩きながら、隠し扉がないか壁を叩いたり撫でたりした。 「天井にも何もないようですね……」 いつの間にか体の大きさがもとに戻った男性が言った。 「ジャンプが禁止されているから、上の方にあるかと思ったんですが」 部屋を1周してしまい2周目に入ったところで、女の人のほうから鼻をすするような音が聞こえた。 「あの、大丈夫ですか?」 「え?なんのことかしら」 「いえ、泣いていらっしゃるのかと」 「そんなわけないでしょ。それより、あれを見て」 女性が天井の方を指さした。 「あっ……何かありますね!」 天井中央から、小さい器のようなものが吊るされていた。 「真下から見ても天井と同化して見つからないようになっていたのか」 長身の男性が言った。 「きっとあの器の中に鍵があるんですね」 「じゃあ私が小さくなるので、誰かに投げてもらって……」 「いやいや、禁止されてますし失敗したら死にますよ」 「そしたらあれの出番ですね」 「あれとは?」 「念力ですよ!」 若い男の子がはっとして自分の端末を再確認した。 「鍵があそこにあると仮定すれば、操縦者の能力を使って取れるわけですね」 「お願いします!」 「よーし、ムムム……」 男の子が念じ始めた。 しかし、何も起こらなかった。 「駄目だ……遠いからかな」 「材質が違うとか?」 「そうか、勝手に鉄の鍵を想像してた。いろいろ試してみます」 その後、銅、木、プラスチックなどいろいろ試したもののやはり何も起こらなかった。 そこで女性が言いにくそうに手を挙げた。 「ごめん、言うのが遅くなったけど、材質は最初から判ってたの」 「えっ、そうなんですか?」 「言わなくてもそのうち当たるかと思ったけど、思いつくはずなかったわね。鍵は、飴細工でできてるわ」 「飴細工!?」 男の子が半信半疑な顔で再び念じ始めると、鍵が器から飛び出し、浮遊しながら降りてきた。 「本当だ!」 部屋の壁に『Clear』の文字が映し出された。 「最初から教えるべきだったわね、ごめんなさい」 「いえ、結果オーライですよ。それより、お姉さんの能力は物の材質を見抜けるものだったんですね」 「えっと、まあそうね」 「2人の能力を組み合わせるとクリアできるんですね」 「よーし、次も頑張りましょう!」
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