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しばらくしてベッドのとなりで横になっていた彼の母が
「剛、これが弟の順二よ。可愛がってあげてね」
そう彼に伝えた。そう伝えた彼の母の優しい目と、足の裏にマジックで書かれた順二と言う名前を目に焼き付けたまま、彼はかずちゃん、まちゃきと生家へと帰宅した。
病院から生家へ帰る道の途中で彼は疑問に思っていたことをかずちゃんにぶつけてみた。
「赤ちゃんが産まれたって、何、弟って何」
「弟ってね、これから剛の家族になる子のことだよ」
かずちゃんがさっき見せたいたずらっ子の表情とはまた別の真剣な表情で剛にそう答えた。
「弟ってね可愛がってあげる家族のこと。うーんそうだね。わかりやすく言えば私にとってのまちゃきってこと。私の弟がまちゃき。剛にとっての弟がさっき生まれた順二君。そういう関係のことよ」
かずちゃんはふっとまた優しい表情に戻り彼にそう説明した。
彼は弟の誕生がとても嬉しかった。まだ二歳足らずの幼い彼はかずちゃんの説明ですべてを理解した訳では無かったが、かずちゃんにとってのまちゃき、あんちゃんにとってのゆうちゃんと言う関係が弟なんだということは理解できた。
そんな弟ができたことはとても嬉しかった。
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