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「私が泣いたことに勝手に理由をつけないでください。  涙は心の汗って言うでしょう。  理由がなくても勝手に出てくることはあるんです。  花粉症になったことないですか。  ゴミが入ったって異物を排除しようと出てくるし。  タマネギ切ったって出るし、どこか痛くたって出るし。  好きとか嫌いとかほんとそういうの迷惑です」 部室の窓越しに告白されている先輩を見ながら泣く君は、わりとわかりやすい性格をしていると思う。 涙の理由をいくつもあげてくるのに僕が泣きたい理由には気づいてくれない。
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