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私が泣いているのは可愛がっていた猫がいなくなったからじゃない。
この家で猫の次に大きいのは私だからだ。
最初は金魚。次に文鳥。イグアナも。
前の日よりも大きいもの。
その法則に気づくのが遅すぎた。
もうあいつはそこまで来ている。
目に染みる腐臭。
獣のような息遣い。
時折人の言葉らしきものが混ざる唸り声。
そういったものが近づいたり遠ざかったりしている。
両親には帰ってこないよう連絡した。
あとは私がここから脱出するだけだ。
涙を拭いて外の気配をうかがい慎重に部屋のドアを開ける。
毛むくじゃらの人とも猿ともつかない姿。
目があったあいつが嬉しそうに笑う。
……イタダキマス……
そう聞こえた。
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