王子様の付箋

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コピー機の前で固まり 動けなくなる。 ──付箋とにらめっこ。 その時、バンっと右肩を叩かれ 『わぁぁっっ』と声にならない声を上げた。 「……どんだけ驚いてんの! こっちが心臓止まるかと思ったよ」 隣で胸に手を当てて スーハーと息をして見せてるのは 同期の瀬能秋奈ちゃん。 同じ歳なのに やたらしっかり者の彼女には 入社以来、ずっとお世話になりっぱなし。 「なんだ……秋奈ちゃん」 「……何固まってたの? 」 そう言われてコピーの存在を思い出す。 「そうだ、コピーしなきゃ」 王子様の付箋を 気付かれないように剥がし ポケットに入れた。 ……つもりだった。 「何隠した?! 」 「は……何も……隠してなんか……」 思わず手でポケットをガードしてしまい 自爆。 何でも無いものをガードする訳なく。 「いつにも増して、分かりやすいねぇ」 秋奈ちゃんが差し出す手に 少し折れてしまった 王子様の付箋を載せた。
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