スルー

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スルー

「コレの主は……だぁれ」 言うべきか言わぬべきか。 けれど…… 秋奈ちゃんの強い……怖い目力に勝てず コピー機に入れようとしてた 書類の最後の行 『海外事業部・矢崎』 と書かれた部分を指差した。 それを見た秋奈ちゃんがフリーズ。 「……秋奈ちゃん? 」 「既読スルー……って したの? 既読スルー! 」 「だって……送り間違いかもって……」 言いかけた時 デスクの方から、秋奈ちゃんを呼ぶ声。 はーい、と軽く返事をした秋奈ちゃんは 「……お昼休み、ゆっくり聞かせて貰う! 外食べに行こ」 念を押すように言いながら デスクへと小走りに戻って行く。 ゆっくりって言われても 他には何も無いのに…… 秋奈ちゃんの後ろ姿を見送りながら コピー機に書類を挿した。
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