スルー

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高速でコピーされてく用紙を見ながら 返信しなくちゃな、と思いつつ なんて返したら良いのか悩む。 二人でご飯 王子様の気まぐれ、きっとそう。 40部コピー完了。 王子様に目をやれば 何やら英語で電話中。 今のうちにこれを持って行って デスクの上にサッと置いて 軽く頭でも下げて逃げよう。 そう決めて、王子様のデスクへ足早に歩けば 私に気付き、電話を切り上げてしまった。 えくぼ付きの笑顔で イスごとクルッと振り返る。 書類を焦りつつ差し出すと 「ありがとう」 「いえ……じゃあ、失礼します」 すぐにそこから立ち去ろうとしたら 「付箋の件、よろしくね」 見つめてられないくらいの笑顔で そう言った。 『はい』なんて返事をしたものの 結局送れずじまいのままお昼になり 秋奈ちゃんと二人 外にお昼を食べに出た。
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