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「どこもいっぱいだなぁ」
少し出足が遅かったかな。
オフィス街にある店は
ほんの少しの時間の差で埋まってしまう。
どこの店も待たないと入れそうに無くて
ウロウロした後
最後に覗いたお蕎麦屋さんで、何とか席につけた。
と、同時に秋奈ちゃんの尋問が始まり
特にこれと言う前置き無しで
ご飯に行こうとLINEが来た流れを話した。
前置きがあったとすれば
『可愛い名前だね』くらい。
それと同時に浮かんだのは
あの自転車の山下さんの顔。
昨日夜食っぽいものが、コンビニの袋に入ってたから
何か軽く食べれるものでも買って
今日会社帰りにお礼に行こうかな。
うん、そうしよう。
「……でしょ? 」
いきなり耳に聞こえた
秋奈ちゃんの言葉に
「え? ……何? 」
慌てて返す。
「だからー
矢崎さん! 行くんでしょ、ご飯!
てか、断る理由無いしね」
王子様の本心は何処にあるのか。
単純そうな
新入社員をからかってるのかな……。
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