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抜け道を自転車で走り抜ける。
パンクした場所も通り過ぎ
角を曲がって少し行った所で整備工場が見えた。
今日はこの前と違って
明かりが煌々としてる。
ちょっと手前で自転車から降りて
押しながら中を覗き込む。
誰かいるけど……山下さんじゃない。
──迷惑かな
急に来たりして
仕事中なら余計に……だよね。
やっぱり帰ろう
そう思った時、
中にいた人に気付かれ
山下さんとは違う色のツナギを着た人が
こちらに歩いて来た。
「あの、うちにご用ですか? 」
「……いえ……あの……山下さんに………」
何でもないです、と言って
帰ればいいものを
思わず言ってしまうと
「遼太郎なら奥にいるよ。
ちょっと待ってて」
私が誰かなんてのも聞かずに
その人は工場の奥へと歩いて行った。
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