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「あの……
昨日返信しようと思ってたんですけど
……寝ちゃって」
しどろもどろな私に
王子様はいつも通りの爽やかな感じで。
「悪いなーとか思ってる? 」
「それはもちろん……」
「じゃあ、お詫びにご飯断らないでね」
えくぼ付きのその笑顔に
嫌ですとか言える人居るの……?
そう聞いてみたい。
まだ頷いてもいないけれど
矢崎さんはどこの店が良いかなーなんて
スマホ片手に検索。
「何食べたいとかある? 」
「え、えっと……お任せします」
あ、でも
「あの、あんまりかしこまったとこは
ちょっと……苦手なんで」
そう言うお店は、仕事でどうしようもない時以外は出来るだけ避けたい。
「オレってそんなイメージ? 」
「……なんか
オシャレなお店に行ってそう……です」
そう言ったら
髪をちょっと触りながら苦笑い。
「オレ、そんなんじゃないんだよねぇ」
あれ……
王子様は本当は
お城を抜け出して
『王子様』じゃない自分になりたい
そんな人なのかな。
「じゃあさ、居酒屋行っちゃう? 」
さっきまでの見えない壁が
ちょっと低くなった気がするのは気のせい?
「そうですね、行っちゃいましょう」
王子様の気紛れに
スルーのお詫びに
ご飯だけ。
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