微妙

3/3
前へ
/223ページ
次へ
「あの…… 昨日返信しようと思ってたんですけど ……寝ちゃって」 しどろもどろな私に 王子様はいつも通りの爽やかな感じで。 「悪いなーとか思ってる? 」 「それはもちろん……」 「じゃあ、お詫びにご飯断らないでね」 えくぼ付きのその笑顔に 嫌ですとか言える人居るの……? そう聞いてみたい。 まだ頷いてもいないけれど 矢崎さんはどこの店が良いかなーなんて スマホ片手に検索。 「何食べたいとかある? 」 「え、えっと……お任せします」 あ、でも 「あの、あんまりかしこまったとこは ちょっと……苦手なんで」 そう言うお店は、仕事でどうしようもない時以外は出来るだけ避けたい。 「オレってそんなイメージ? 」 「……なんか オシャレなお店に行ってそう……です」 そう言ったら 髪をちょっと触りながら苦笑い。 「オレ、そんなんじゃないんだよねぇ」 あれ…… 王子様は本当は お城を抜け出して 『王子様』じゃない自分になりたい そんな人なのかな。 「じゃあさ、居酒屋行っちゃう? 」 さっきまでの見えない壁が ちょっと低くなった気がするのは気のせい? 「そうですね、行っちゃいましょう」 王子様の気紛れに スルーのお詫びに ご飯だけ。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加