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「オレの職場、すぐそこなんやけど
パンクなら直してやろうか? 」
悪い人には見えないけど
知らない人だし……
ちょっと躊躇してたら
その人はクスっと笑って。
「そんな警戒せんでええよ。
獲って食ったりせぇへんから」
優しそうな笑った顔。
パンクしたままじゃ
明日からも困るし……。
「……すみません……。
お願いしてもいいですか」
「ん。ほな、行こかぁ」
立ち上がり
その人は自転車を押して歩き出す。
少し先を歩く背中を見ながらついて行くと
すぐに大きな車の整備工場があって
そこに入って行った。
「その辺座ってて。すぐ終わるから」
その辺って言われても
座る場所なんか無くて
工具を持って来て
手際良くパンクを直してくれてる所を
側で見てた。
真剣な顔
時々呟く独り言
気付けば警戒心はどこかへ消えていた。
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