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「蘭武、お前はもう少し紅砂についていてくれ。俺は瀬菜たちの様子を見てくる」 「分かった。気を付けて行けよ」 「おう!」  四鵬は軽く手を振って、洞窟の外へ出ていった。  海岸に出ると、四鵬は羅遠家に向かって飛んだ。小島へと向かうルートはもう一つ。羅遠家の四鵬の部屋へと繋がっているのだ。きっと、瀬菜だったら、そのルートに向かう筈だ。  母島の崖を登り、羅遠家の裏山に入ると、そこに待ち受けていたのは、スティーブ達であった。 「うわっ!あんた達……何でまたここに居るんだ?卯月はどうした?」 「卯月ちゃんは、あんたの仲間とどっかに行ったさ」 「それより、赤髪の兄ちゃんは何処だ?」 「コンラッドの事か?」 「ああ、そう。それ!」  四鵬はスティーブの話を聞くなり、踵を返した。 「あ、こら!何処へ行く?!」 「もっと南へ行く!敵を誘い込む舞台に父島はもってこいなんだ!」  スティーブとサイモンは顔を見合わせた。 「ふーん。何だか面白そうだな」 「ああ、後に付いて行こう」  二人は四鵬の後を追った。 ※※※※※※※※※  時を同じくして、白いコートを翻しながら、ザンがまた鹿児島の空へとやって来ていた。  キリルを一頻りに抱いた後、また戻ると約束をした。キリルにしてみれば、またか……と言いたいようだったが、こればかりは仕方がない。まだまだ残留高位結鬼が彷徨いている状態では、いつまたキリルに危険が降りかかるか分からない。よって、ザンはキリルとは適度に距離を取りながら、人間や他の結鬼を陥れるような奴らを狩るためにやって来たのだ。  
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