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ルイは直ぐ様、卯月を拐った。
「卯月!!」
紅砂が手を伸ばし、卯月の手を握った。
ルイはそれでもお構い無しに飛翔した。卯月の手を取ったまま紅砂は宙吊り状態になった。
「お前は邪魔だ!退け!!」
ルイが紅砂に向かって叫ぶ。
「卯月をどうするつもりですか?!」
「お前が知る必要はない!離せ!」
ぶら下がる紅砂に、ルイは何度も蹴りを与えた。その度に、紅砂は血泡を吐く。
「やめて!紅さんに酷い事をしないで!!」
「なら、奴の手を離せ!」
そうしたくても、卯月には為す術もなかった。卯月がそうしたくても、紅砂が離さないのだ。
「誰が離すものか!卯月を、お前なんかの手には渡さないっ!!」
「紅さん!!」
卯月は自分の無力さに涙した。
どうして卯月には、この状況を変えられる力がないのか。何の為に卯月は生きているのか。無力な自分に対して、怒りが沸いたとき、卯月はルイの耳に噛り付いていた。
「何をしやがる!」
ルイは卯月を引き剥がそうと、思いっきり卯月を引っ張ると、ルイの耳も千切れた。
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