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「どうやって?」
ザンが首を傾ける。
「まあ、見てなって、サイモンが今、準備に取りかかっている」
「準備に時間がかかるんじゃ面倒だ。俺はこのまま行く」
「へっ?!」
スティーブの驚いた声を耳の端に聞きながら、ザンは岩場の割れ目へと吸い込まれた。
着地をすると、中はかなり薄暗く、ザンの目では殆んど見えない。しかし、聞こえてくる美和の快楽に満ちた声で居場所は大体分かる。
ザンがそちらへ向かおうと足を一歩踏み出した時だ。肩を掴まれ「待てよ」と呼び止められる。サイモンだ。
「今、迂闊に近付くのは危ないぜ」
「なんで?」
「女が奴に精力を与えている」
「ヤってるだけだろ?」
「いや、それだけじゃないんだ。女が相手を気に入って、意識を高ぶらせると、俺達は力を得るって、お前は知らないのか?」
ザンはサイモンの顔を見つめた。こいつもそれほど弱い相手ではない。それなのに、これだけ警戒するということは本当なのか。
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