浦の星女学院高校

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次の日 千覇は昨日と同じバスで登校をした。男子ということもあるため、しばらくは早めのバスで登校をすることに決めた。さえには連絡してある。荷物を運ぶといった手前、いきなりそれを破るのは・・・と思ったが、昨日のクラスの反応を見てそう判断した。あとは、さえが曜たちと登校するらしく、「代役はいるから慣れたら頼むよ。」と返事が来た。学校に着き、教室でクラスメイトが来るまで、読書をして待つことにした。しばらくすると、むつやいつきたちがきた。さえたちは始業ギリギリになって来た。 千歌「ううう、手強い・・・。」 曜「あはは・・・」 千覇「どうかしたのか?」 千歌「生徒会長が部を認めてくれない・・・作曲できる人も一人もいなーい・・・」 曜「大変なんだねぇ。スクールアイドル始めるのも・・・」 どうやら、スクールアイドル部は部として存在していないらしい。千歌は創部しようと頑張ってるらしいが、人数が集まっていないようだ。千覇にとってはありがたいことだ。 千歌「やっぱり人数が集まらないとだめかぁ。」 千覇「そりゃそうだろ。創部のきまりなんだろ?作曲するやつだって必ずほしいわけだし。」 曜「あはは・・・さえちゃんにも同じこと言われたね。」 この学校の生徒会長が規律をしっかり守る人でよかった。元の学校の生徒会長は面白ければなんでも許可してしまう人だったので部員が2人しかいない部活もの多く存在していた。竹取物語をひたすら研究する「かぐや部」とか、恋愛について研究する「告部」とかいろいろあった。 千歌「ううう、こうなったら!」 千歌は机から音楽の教科書を出した。自ら作曲する気なんだろう。どの行動力は認めざるを得ないが、今見てるのが小学校低学年の音楽の教科書じゃなかったらよかった。どうやら、創部は現状ほぼ不可能に近い。 担任「皆、席に着いてね。」 担任が来た。千覇は昨日会った桜内梨子という少女のことを思い出した。確か転校してくるといったが、AかBのどちらに入ってくるのだろうか。普通に考えたら、Bクラスのほうだろう。編入するはずだった幸がしばらく来ない以上、人数のことを考えたらBクラスが妥当なはずだが。 担任「はーい、皆さん、ここで転校生を紹介します。」 千覇「(え、嘘だろ?)」 曜「転校生?うちのクラスに?」 千歌「ほぇ・・・。また一人増えるの?」 クラスがざわざわしだす中、その転校生は教室へ入ってきた。風になびくワインレッドの髪、千覇と千歌にとっては昨日ぶりとなるその姿だった。転校生、桜内梨子は昨日海に飛び落ちたせいか、少しくしゃみをしながら自己紹介をした。 千覇「(なんでよりにもよってうちのクラスなんだよ・・・。)」 千覇が心の中でこのクラスに編入させた人物を恨んでいるうちに自己紹介が終わった。次の瞬間、千歌は立ち上がった。 千歌「奇跡だよぉぉ!!」 梨子「!?あ、貴女は・・・!」 千歌は梨子のもとに歩み寄り、右手を差し出す。 千歌「一緒にスクールアイドル始めませんか!」 梨子は千歌の行動に驚いた表情をした。クラスメイトも、なんだなんだ、と二人の方を見ている。やがて梨子はクラスに入ってきて最高の笑顔をした。千歌はその表情でいい結果が来ると予想しただろう。千歌自身も笑顔になった。そして、梨子の口から返事が・・・ 梨子「ごめんなさい。」 千歌「え・・・ええええええええええええええ!!」 学院内に響き渡る千歌の声。波乱万丈な編入二日目がこうして幕を開けた。
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