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番外編
ーー今から八年前。
当時二十四歳だった僕は、このまま東京で小説を書き続けるか、九州に戻って家業を手伝うか、悩んでいた。
小説を書くことを選んだからと言って、勘当されるとまではいかないだろうが、両親を悲しませてしまうことは間違いない。旅館の跡継ぎの問題だってある。
誰かを悲しませてまで追い続ける夢に、意味はあるのだろうか?それに、趣味としてなら小説はどこにいたって書ける。
そうは思うけれど……小説家として小説を書き続けたいという気持ちを、どうしても捨てられずにいた。
ある日の夕方、新宿の本屋にふらりと立ち寄った。
雑誌も小説も漫画も参考書も、何でも揃っている大きな本屋だ。
特に目的はなかったが、先日発売した自分の新刊の売れ行きがどうなっているか、どうしても気になったので小説コーナーへと足を運ぶ。売れ行きが悪いのを目の当たりにしたら確実に凹むので、それならば自分の目で確認なんかしない方がいいのは分かっているのだが……自然と足がそこへ向かってしまった。
するとそこで、学ランを着た中学生くらいの男の子が僕の新刊を手に取っている姿を発見した。
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