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「光理はほんとに神林先生が好きだねえ」
「ああ。じゃあこの小説、買ってくるからちょっと待ってて」
そう言って、右手に僕の本を持ちながら方向転換してきた彼と、肩が軽くぶつかった。
「あっ、すみません。ちゃんと前、見てなくて……」
「あ、ううん。気にしないで」
ーー寧ろ、ありがとう。
ほんの数分間の出来事だった。
しかも、この時に光理くんの顔を正面から見たのは、言葉を交わしたほんの三秒間。
だから、ハプバーで再会した時は、まさかあの時の男の子だなんて気づかなかった。
だけど、本屋でのこの出来事がきっかけで、僕はやっぱり小説を書き続けることを決めたんだよ、光理くん。
End
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